この記事が良かったら
「チップをリクエスト」で著者にチップの受け取り設定をお願いできます

まだスクリーンショットを撮り直していました。もう少しだけUIを整えてから、と思っていました。告知文も、なんとなく下書きのままでした。 「ローンチ」という言葉が、どこか重くのしかかっていました。Product Huntに投稿して、Twitterで告知して、Zennにリリース記事を書…
この記事が良かったら
「チップをリクエスト」で著者にチップの受け取り設定をお願いできます
まだスクリーンショットを撮り直していました。もう少しだけUIを整えてから、と思っていました。告知文も、なんとなく下書きのままでした。 「ローンチ」という言葉が、どこか重くのしかかっていました。Product Huntに投稿して、Twitterで告知して、Zennにリリース記事を書いて。それが「ちゃんとした公開」だと、いつの間にか思い込んでいたんです。 この記事は、そういう儀式から自分を解放した日のことを書いています。大げさな話でも、成功体験の自慢でもありません。ただ、同じように「まだ公開できない」と感じている方に、少し届けばいいなと思いながら書きました。
アプリ自体は、かなり早い段階でそれなりに動いていました。3ヶ月前には、自分で使えるレベルにはなっていたんです。でも「公開」には至らなかった。
最初は「ランディングページを作ってから」でした。次に「説明文をもっとわかりやすくしてから」になり、「スマホでも確認してから」になり、「友達に見せてフィードバックをもらってから」になりました。
一つ直すたびに、新しい「もう少し」が生えてくる。
ローンチの準備をしているつもりで、実際には公開しない理由をコレクションしていました。怖かったんだと思います。ちゃんと宣言して公開して、誰にも使ってもらえなかったら。あの沈黙が怖かった。
「本日ついにリリースしました!」から始まる告知ツイートを、何度も書きました。でもいつも投稿できなかった。
文章が決まらない、というより、「投稿する自信がない」に近かったです。この内容で大丈夫か、タイミングはこれでいいか、そもそも誰かに刺さるのか。考え始めると止まらなくて、下書きが増えるばかりでした。
Product Huntに至っては、アカウントすら作っていませんでした。「いつか、ちゃんと準備ができたら」と思いながら、その日はずっと来なかった。
ある夜、あまり深く考えずにURLを公開設定にしました。
特別な決意があったわけではありません。疲れていたのかもしれない。「もうどうでもいいや」と思ったのかもしれない。ただ、静かにスイッチを切り替えただけでした。
告知もしませんでした。ツイートも、Discordへの投稿も、誰かへのDMも。誰にも言わずに、ただURLが「誰でも見られる状態」になっただけ。
それで寝ました。翌朝、特に何も起きていませんでした。当然です。誰にも言っていないんだから。
でも、それが逆に清々しかった。「誰かに見てもらえなかった」という失敗体験を、まだ積んでいなかった。ただ静かに、世界に存在するだけになっていた。
公開から2週間ほど経ったある日、見知らぬメールアドレスからフィードバックが届きました。
最初は詐欺かと思いました(笑)。でも読んでいくと、明らかに実際に使ってくれた方からの内容でした。どこで知りましたか?と聞いたら、「Googleで検索したら出てきました」という返事でした。
それだけでした。それだけなのに、なぜかとても嬉しかった。
告知ツイートを頑張って伸ばした時より、ずっと。自分の意図しないところから来てくれた方が、自分のアプリを使ってくれた。その感覚は、思っていたよりずっと大きかったです。
その後も、誰かが使ってくれることが増えました。SNSで紹介してくれた方がいたり、知らないコミュニティで話題にしていただいたり。私は何もしていないのに。
全部で何十人というレベルです。バズったわけでも、大きく広まったわけでもない。でも、それが「自分のアプリが世の中に存在している」という感触でした。
そこで初めて気づいたんです。私が恐れていたのは「使ってもらえないこと」ではなくて、「宣言して使ってもらえないこと」だったんだと。
Product Huntへの投稿も、告知ツイートも、リリース記事も、全部「知ってもらうための手段」です。手段なのに、それ自体が目的になっていた。「ちゃんとローンチする」ことが目標になっていて、「使ってもらう」が後回しになっていた。
しかも、ローンチ=宣言という刷り込みには副作用がありました。宣言をするということは、失敗も公開されるということ。使われなかった、伸びなかった、という結果が可視化されるということ。だからこそ、宣言前に完璧にしておかなければ、という焦りが生まれる。
でも、そもそも完璧なアプリなんてないんです。あとで気づくバグも、使われて初めてわかる設計のまずさも、全部「公開後」に見えてくるものです。
誰にも言わずに公開するのは、逃げではありませんでした。むしろ、儀式に縛られずに動ける選択肢でした。
宣言なしに公開すれば、失敗の定義がない。誰かが使ってくれれば儲けもの、誰も来なくても「まだ誰にも言っていないから」と思える。
この「失敗を定義しない」感覚が、私には合っていたようです。
公開した後、少しだけ変わったことがあります。
ツイートの代わりに、使ってくれた方に直接「ありがとうございます」とメッセージを送るようにしました。フィードバックを送ってくれた方には必ず返事をして、どう直したかを報告するようにしました。
派手さはゼロです。バズりとは無縁の行動です。でも、一人ひとりのユーザーの方と直接つながっている感覚は、告知ツイートが伸びた時とは全然違うものでした。
ローンチの準備をしていた頃は、「見栄えをよくすること」に時間が取られていました。スクリーンショットをきれいにする、コピーを整える、見た目を磨く。
でも公開後は、「実際に使った方が困っていること」だけを直せばよかった。優先度が一気にクリアになりました。
地味ですが、これが一番変わったことかもしれません。「見られることへの準備」から「使われることへの対応」に、軸が移りました。
この話を書いていて、一つだけ補足したくなりました。
「ローンチしなくていい」というメッセージではありません。告知ツイートを頑張ることも、Product Huntに投稿することも、全然悪くない。うまくいく場合もたくさんあるし、仲間を集める意味でも大切な行動だと思います。
私が言いたいのは、「ローンチ=宣言」という一択しかない、と思い込まなくていい、ということです。
静かに公開して、こっそり様子を見る。告知前に誰かに使ってもらう。思ったより早く公開して、フィードバックで育てていく。そういう選択肢が、自分に合っているかもしれない。
3ヶ月間、告知ツイートの下書きを増やし続けていた私が言うのは説得力がないかもしれないんですが(笑)、あの「黙って公開したあの夜」は、今振り返っても正解だったと思っています。
あなたの「もう少し」が、実はもう十分な可能性もあります。
Lily(@bokuwalily)― 個人開発者。AIと二人三脚で、iOSアプリやWebサービスを作っています
🎁 最後まで読んでくれたあなたへ、無料の特典があります: LINEで「自動化」と送って受け取る(実装テンプレ7本)
Lily(@bokuwalily)― 個人開発者 / AI導入・業務自動化のコンサルタント。AIと二人三脚でiOSアプリやWebサービスを作りながら、企業のAI導入と自動化の相談を受けています
🖥️ 制作物・記事 → bokuwalily.com
🐙 OSS → github.com/bokuwalily
🌍 最新情報・お問い合わせ → X @bokuwalily