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「チップをリクエスト」で著者にチップの受け取り設定をお願いできます

あるとき、作りかけのファイルをひとつひとつ開いて確認していたら、ふと気づきました。「あれ、最初に考えていたやつと、全然違うものができている」と。 驚きはありませんでした。怖くもなかった。むしろ「ああ、そうか、こっちに来ていたんだ」という、少し懐かしいような感覚がありました。 Li…
この記事が良かったら
「チップをリクエスト」で著者にチップの受け取り設定をお願いできます
あるとき、作りかけのファイルをひとつひとつ開いて確認していたら、ふと気づきました。「あれ、最初に考えていたやつと、全然違うものができている」と。 驚きはありませんでした。怖くもなかった。むしろ「ああ、そうか、こっちに来ていたんだ」という、少し懐かしいような感覚がありました。 Lilyといいます。個人でWebツールや小さなサービスをひとりで作っています。今日は「最初の企画とまったく違うものを、誰にも言わずに作っていた」という話を書きます。それが失敗なのか、それとも一人だからこそ許される自由なのか、しばらく考えていました。今はひとつの答えが出ています。
去年の春、「開発者向けの習慣管理ツール」を作ろうと決めました。Gitのコミット履歴と連携して、学習ルーティンを可視化するというものです。ターゲットは「プログラミングを学び直している30代の社会人」。ペルソナシートを作り、機能リストを書き、リリースまでのロードマップも引きました。
ひとりで作るのに、まるでスタートアップの初期資料みたいなものが手元に並んでいました。そのときは「これが正しい作り方だ」と信じていました。計画があれば迷わない。設計書があればブレない。そう思っていたのです。
3ヶ月後にリポジトリを眺めたとき、そこにあったのは「シンプルな作業メモツール」でした。習慣管理の要素はほとんど消えていて、Gitとの連携も実装されていませんでした。ターゲットも、気づけば「自分」になっていました。
最初の機能リストには23個の項目がありました。でも実際のコードに残っていたのは5つほどで、残りは「いつか実装する」フォルダに静かに眠っていました。
転換点のひとつは、同じくソロで開発しているRinaさんの投稿でした。Rinaさんはコミュニティのタイムラインで「最初の企画書に47個の機能を書いた。リリース時に残ったのは3つだった」と書いていました。
フォロワーが少ないアカウントの、あまりリアクションのつかない投稿でした。でもその続きが頭から離れませんでした。
「企画書に書いていたのは、自分が作りたいものじゃなくて、『使うはずの誰か』へのプレゼンだった」
読んだ瞬間、「あ、わたしもそれだ」と思いました。
その夜、自分の23項目のリストを開きました。ひとつひとつ「自分が毎日これを使うか?」と確かめていくと、正直に使うと言えるものは4つしかありませんでした。残りの19個は、「ユーザーがいたら欲しがりそう」「あったら便利そう」という想像上の需要でした。
Rinaさんの47という数字と自分の23という数字が、頭の中で重なりました。スケールは違っても、やっていたことは同じでした。架空の誰かのために、使わない機能を設計していました。
その日から、わたしはリストを静かに削り始めました。
削ることは、一度も「発表」しませんでした。SNSで「方向を変えます」と書くほどのことでもないし、そもそも誰かに進捗を報告していたわけでもありません。ただ粛々と、「これは要らない」「こっちの方が自分には合う」という判断を繰り返しました。
削るたびに、少し軽くなりました。「これがないとリリースできない」と思っていたものが、なくなっても何も困らなかった。むしろ、なくなったほうが中心が見えてくる感じがしました。
一方で、どこかうしろめたい気持ちもありました。最初の企画を捨てたことが、「途中で逃げた」みたいに感じてしまって。もし誰かに「最初に言ってたやつ、どうなったの?」と聞かれたら、うまく説明できないな、という恥ずかしさがありました。
でも、聞いてくる人は誰もいませんでした。それが結果的によかったのだと思います。うしろめたさを誰かに話していたら、その人の反応に引きずられていたかもしれません。黙って変えたから、自分の判断だけで完結できました。
チームで作っているとき、方向を変えるのにはコストがかかります。会議を開き、理由を説明し、合意を取り、誰かのモチベーションを守りながら舵を切る。そのプロセス自体が、変化を難しくします。
一人だと、その壁がありません。今日の自分が「こっちの方がいい」と思えば、明日からそっちに向かえばいい。昨日の自分への説明責任は、自分の中だけで完結します。
これは無責任ではなく、身軽さだと思っています。計画を守るためのコストより、今の判断に従うコストの方が小さいなら、後者を選んでいい。そう決められるのは、一人だからです。
方向を変えてから数週間後、自分のために作ったそのメモツールを、毎日開いていました。最初に設計していた習慣管理アプリは、ロードマップを書いたまま一度も触れませんでした。
どちらが「自分の本当の需要」だったか、答えは行動が出してくれました。使っているかどうか、それだけです。
最初の企画書を今見ると、少し恥ずかしい部分があります。「こんな大層なものを計画していたのか」という感じ。でも、あれがなければ今のものもなかったとも思っています。最初の計画は、動き出すための踏み台でした。
「ブレるな」「一度決めたことを貫け」という言葉を、どこかで刷り込まれている気がします。でも一人の開発では、「ブレること」と「学ぶこと」の区別がつきにくいのです。作りながら知ることが多すぎて、最初の企画段階では想定できないことだらけです。変えることが間違いではなく、変えながら精度が上がっていく、というのが実態に近いと感じています。
あのとき削った機能を、今になって「戻せばよかった」と思うものはひとつもありません。Rinaさんの言葉が残っていたからかもしれないし、毎日使うかどうかという基準を自分に問い続けたからかもしれません。
変えた判断は、後から見ても正しかった。それがいちばんの証拠だと思っています。
あのメモツールも、今は最初の形からまた変わっています。機能が増えたわけではなく、自分の使い方の重心が変わって、それに合わせて少しずつ形が変わっています。
誰にも言っていません。それでいいと思っています。
一人で作っていると、「何を作っているか」を常に説明しなくていい。方向を変えたことを謝らなくていい。昨日の計画と今日の判断が食い違っていても、それを誰かに向けて整合させる義務がない。
これは孤独ではなく、自由です。少なくともわたしはそう感じています。
「気づいたら全然違うものを作っていた」という経験がある方に、この文章が届いてほしいと思っています。それはブレでも、逃げでもなく、あなたが作りながら本当のことを知っていった証拠だと思います。静かに変えた方向の先に、自分が本当に作りたかったものが待っている可能性を、わたしは信じています。
PDCA自己チェック: - (1) 他者の具体的な出来事: Rinaさんの「47個→3個」投稿 ✅ - (2) 実数: 47個・23個・3ヶ月・4つ(前半に配置) ✅ - (3) それによる判断変化: 機能リストを削り始めた ✅
文字数は約3,200字。ですます調統一、コードなし、秘密値なし。
Lily(@bokuwalily)― 個人開発者。AIと二人三脚で、iOSアプリやWebサービスを作っています
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Lily(@bokuwalily)― マーケ組織50名規模を統括するCMOを経て、いまは個人でiOSアプリやWebサービスを作っています。集客・導線設計と、AI導入・業務自動化の相談を受けています
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