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1本目のアプリをリリースした夜のことは、今でもはっきり覚えています。審査が通ったという通知が来て、思わず「やった!」と声に出してしまいました。深夜2時のことでした。あれだけ悩んで、何度も作り直して、やっとの思いで世に出したアプリ。「これで自分も個人開発者だ」と、少し誇らしい気持ち…
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1本目のアプリをリリースした夜のことは、今でもはっきり覚えています。審査が通ったという通知が来て、思わず「やった!」と声に出してしまいました。深夜2時のことでした。あれだけ悩んで、何度も作り直して、やっとの思いで世に出したアプリ。「これで自分も個人開発者だ」と、少し誇らしい気持ちになったのを覚えています。 でも、その後に来た感覚のことは、あまり人に話したことがありませんでした。リリースの興奮が冷めた後、妙な停滞感がやってきたんです。「次は何を作ろうか」と考えるたびに、手が止まる。アイデアはあるのに、動けない。経験があるはずなのに、どうしても一歩が出ない。 1本目よりずっと難しく感じたのが、2本目でした。この記事は、そのときの話です。今まさに同じ場所で立ち止まっている方に、少しでも届けばいいなと思って書いています。
1本目のリリース後、わたしはしばらくぼんやりしていました。正確に言うと、燃え尽きていたわけではありませんでした。エネルギーはある。ただ、それをどこに向けていいかわからない状態でした。
ずっと「リリース」というゴールに向かって走り続けていたので、急に目標が消えてしまった感じ、とでもいえばいいでしょうか。次に向かうための助走がなかなかつけられなかったんです。
1本目のアプリは、ありがたいことに少しずつダウンロードされていました。レビューも少し届いていました。でも、それを眺めながら「次を作らなきゃ」という気持ちと、「まだこれで何かできるんじゃないか」という気持ちが、交互にやってくる感じで。
後から気づいたのですが、これは「終われない病」みたいなものでした。1本目のことが気になって、完全に切り離せない。でも、かといって大きな改善をするモチベーションもない。そのはざまで、次の一歩が踏み出せないでいました。
リリース後、わたしはメモアプリにアイデアをたくさん書きました。「〇〇できるツールがあったら便利じゃないか」「あの機能を独立させたら面白いかも」——そんな断片が、数十個たまっていきました。
でも、どれも実行に移せなかったんです。理由はシンプルで、「1本目よりよくなければ意味がない」という思い込みがあったからでした。
1本目は手探りで作ったので、設計も画面の作りもかなり荒削りでした。「次はちゃんとやろう」という気持ちは正直なものでした。でもそれが、完璧主義のトリガーになってしまったんです。アイデアを思いつくたびに「これ、本当にちゃんと作り込める?」と自問して、自信がなければ保留にする。そのうち保留ばかりになって、何も動かなくなりました。
1本目を作る前は、何も知らなかったからこそ怖いものなしで動けました。「とりあえず作ってみよう」と素直に動けたんです。でも1本目を経験してしまうと、「あのときここで詰まった」「あの判断が後で響いた」という記憶が蓄積されます。
その記憶は財産でもあるんですが、同時に「慎重になりすぎる理由」にもなりました。経験が増えるほど、動く前にリスクを見積もれてしまう。そして見積もれるリスクを見て「もう少し待とう」となってしまう。これが続くと、ずっと「準備中」のままです。
1本目のときの「無知ゆえの無敵感」は、もう戻ってこないんですよね。それがうまくいった最大の理由の一つでもあったのに、2本目では邪魔をしてくる。なんとも皮肉だと思いました。
停滞しているあいだ、実はコードを少しだけ書き始めた時期がありました。とあるアイデアを「今度こそ」と意気込んで動かし始めたんです。
でも、3日後に止まりました。理由は割とシンプルで、「作りたいものの全体像が見えないまま作り始めたから」でした。どこに向かっているかわからない道を走っている感じで、進めば進むほど不安になる。ある朝起きて「このまま続けても何が完成するのかわからない」と気づいて、そっとフォルダを閉じました。
誰にも話しませんでした。当時は「また途中でやめてしまった」と落ち込みましたが、今振り返るとこれがいい転機になりました。
フォルダを閉じた翌日、何かに背中を押されるようにノートを開いて、「なぜ止まったか」を箇条書きにしました。
書き出してみると、思っていたよりシンプルな問題でした。技術的な限界ではなく、進め方の問題だったんです。このとき初めて「次はここを変えればいいのか」とすっきりした気持ちになれました。
次のアイデアに取り組むとき、「今日、何ができるか」だけを考えることにしました。
「2ヶ月でリリース」とか「〇〇機能を全部入れる」とか、そういう大きなゴールを最初に決めるのをやめたんです。代わりに、毎朝「今日はここだけ動かす」という一行を書くようにしました。
最初の一日は「アプリの名前を3つ考える」でした。コードはゼロ行です。それだけ。でも、それが終わったとき、小さいけど確実に前に進んだ感触がありました。次の日は「画面の遷移を紙に書く」。その次は「最初の画面だけ開く」。それだけ、というのを続けました。
「今日の一行」に絞ると、「完璧じゃなければやらない」という気持ちがずいぶん薄れました。今日やることが小さければ小さいほど、始めるハードルが下がるんです。
もう一つ変えたのは、「早く動く状態を見る」を最優先にしたことです。
1本目のときは無我夢中だったので、半分できた段階でも「とりあえず動かしてみよう」という感覚がありました。でも2本目では、どこかで「もう少し整ってから動かそう」という意識が入り込んでいたんです。
それをやめて、「使い物にならなくていいから、画面が立ち上がるだけの状態を今週中に作る」という目標にしました。荒削りでも、自分のスマホに入って起動するものを早く見ると、モチベーションの維持がぜんぜん違います。「これを育てよう」という気持ちが湧いてくるんです。「完成品への道のり」ではなく、「一緒に育てているもの」という感覚に変わります。
2本目は、最初のアイデアから約4ヶ月でリリースできました。1本目より機能は少なく、デザインもシンプルです。「もっと作り込めばよかった」という気持ちが全くないといえば嘘になります。
でも、リリースして気づいたことがあります。2本目を作る過程で、自分の「作り方の癖」がはっきり見えてきたんです。どこで詰まりやすいか、どういう順番で作ると自分は動けるか、何を後回しにしていい判断で、何を後回しにしてはいけないか——そういうことが、ようやく言語化できるようになりました。
1本目は「作れた」という経験でした。2本目は「自分の作り方がわかった」という経験でした。そしてたぶん、この2本目があって初めて、3本目が少し楽になります。
今、1本目が終わって次が動き出せないでいる方がいたら——それは当たり前のことだと思います。経験が増えた分、慎重になるのは自然です。でも、慎重さが「正しさを追い求めて止まること」になってしまったなら、一度「今日だけできること」に絞ってみてください。
全部を見なくていいです。今日の一行でいい。それが、わたしが2本目から学んだいちばん大事なことです。
Lily(@bokuwalily)― 個人開発者。AIと二人三脚で、iOSアプリやWebサービスを作っています
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Lily(@bokuwalily)― マーケ組織50名規模を統括するCMOを経て、いまは個人でiOSアプリやWebサービスを作っています。集客・導線設計と、AI導入・業務自動化の相談を受けています
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