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「チップをリクエスト」で著者にチップの受け取り設定をお願いできます

今年の3月のことです。管理画面を開いたとき、「解約手続きが完了しました」という通知が1件届いていました。送り主はユーザーIDで表示されているだけでしたが、Lilyにはすぐわかりました。サービスをリリースして2ヶ月目に登録してくれた、最初期のユーザーのうちの一人でした。 その通知を…
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「チップをリクエスト」で著者にチップの受け取り設定をお願いできます
今年の3月のことです。管理画面を開いたとき、「解約手続きが完了しました」という通知が1件届いていました。送り主はユーザーIDで表示されているだけでしたが、Lilyにはすぐわかりました。サービスをリリースして2ヶ月目に登録してくれた、最初期のユーザーのうちの一人でした。 その通知を見たとき、しばらく画面をじっと見つめたあと、そっとタブを閉じました。悲しいというより、「ああ、やっぱりそういうこともあるよな」という、静かな納得でした。個人開発をしていると、ユーザーが離れていくことはある種の「日常」になっていきます。慣れたつもりでいたし、実際に感情を波立てるほどのことではなかった。でも、最初期のユーザーだったという事実は、少しだけ胸に刺さりました。 この記事は、その4ヶ月後に起きた出来事について書いています。小さな話です。数字にすれば1件、金額にすれば月額のワンユニット分。でも、Lilyが個人開発を続けながらずっと持ちつづけていた問いに、その1件が静かに答えをくれました。同じように一人で作りつづけている人に、何か届くものがあればいいと思って、書き始めます。
個人開発をしている人なら、「最初の10人」がどれだけ特別な存在かはわかってもらえると思います。まだ機能が全然揃っていなかった時期に「面白そうだから使ってみます」と言ってくれた人たちは、ある種の信頼の証みたいなものです。Lilyにとっても、その最初期のユーザーたちは特別な存在でした。
その人が解約したとき、真っ先に浮かんだのは「何がいけなかったんだろう」という問いでした。使い方が難しかったのか、欲しい機能がなかったのか、それとも単純にタイミングが合わなくなったのか。解約理由を聞くアンケートフォームを送ることも考えましたが、結局送りませんでした。「理由を聞く勇気がなかった」というのが、正直なところです。
聞けなかった理由はもう一つあります。何を言われても、今すぐ劇的に変えられる自信がなかったのです。個人開発の限界というか、自分一人でできることの上限というか。「こういう機能がほしかった」と言われても、それを今月中に実装できる保証はない。だから、聞いて傷つくよりも、静かに見送る方を選んだのだと思います。今思えば、それは少し臆病だったかもしれません。
解約から1ヶ月、2ヶ月と経つうちに、そのユーザーのことはほとんど思い出さなくなりました。新しいユーザーが少しずつ増えて、機能改善を続けて、リリースノートを書いて、SNSで小さな発信をして。Lilyの日常は普通に続いていきました。
「一度離れた人はもう戻らない」と、どこかで思っていました。根拠はないけど、そういうものだという感覚です。Webサービスの世界では、解約したあとで同じサービスに戻る人はかなりレアだという話を読んだこともあって、それがなんとなく自分の中の「正解」になっていました。
だからこそ、3月に解約したその人のことは、「お世話になりました、またいつかどこかで」という気持ちで、Lilyの中では終わっていたのです。
解約から約4ヶ月後、6月の中旬のことです。朝9時ごろ、管理画面を開いたとき、「新規サブスクリプション登録」という通知が届いていました。
登録されたユーザーIDを見たとき、しばらく意味が飲み込めませんでした。見覚えがあるIDだと思って、ユーザー履歴を確認したら、3月に解約した、あの最初期のユーザーでした。
正直に言うと、最初は「システムのバグかな」と思いました。個人開発あるあるの疑い方だと思いますが、何かの二重処理が起きたのかと思ってログを確認しました。でも、そうじゃなかった。ちゃんと新しい課金セッションが立ち上がっていて、決済も通っていました。
4ヶ月ぶりに、その人がまた戻ってきていました。
通知を確認してから、しばらく何もできませんでした。コードを書こうと思っていたのに、画面を開いたままぼんやりしていました。
「また選ばれた」という言葉が、頭の中に浮かんできました。大げさに聞こえるかもしれないけれど、そのときのLilyにとっては、本当にそういう感覚でした。4ヶ月の間、その人が何を使っていたのかはわかりません。他のサービスを試したのかもしれないし、しばらく何も使わなかったのかもしれない。でも、いろんな選択肢がある中で、またここに戻ってきてくれた。
Lilyがずっと続けてきたことが、誰かの「やっぱりここにしよう」につながった瞬間でした。
個人開発を続けていると、「やめ時はいつなんだろう」という問いが定期的に訪れます。ユーザーが増えない月、バグ対応で週末が消える週、SNSで他の人の派手なリリースを見て自分の地味な改善作業と比べてしまうとき。
Lilyも、何度かそういう気持ちになりました。特に解約が続いた時期は、「もうこれ以上成長しないのかな」という気持ちが頭をよぎりました。続ける理由を意識的に探さないといけないような時期がありました。
そういう気持ちの中で続けてきた積み重ねが、あの6月の通知につながったんだと思うと、何かが報われた気がしました。正確には「報われた」より「肯定された」という感覚に近いです。「続けていてよかった」ではなく、「続けていたことが、答えを呼んだ」という感じ。
この出来事のあと、Lilyが変えたことが一つあります。
それまでは、解約したユーザーに対して何もしていませんでした。送れるメッセージはあるし、仕組み的には解約後フォローの連絡を届けることもできたのですが、「押しつけがましくなりたくない」という理由でずっとやっていませんでした。
でも、あの再登録を見て、考えが変わりました。戻ってきてくれた人は、4ヶ月の間にも、きっとどこかでこのサービスのことを思い出す機会があったはずです。その機会を、Lilyは何も作っていませんでした。
それで解約後30日以内に一度だけ、プレッシャーをかけない短いメッセージを送ることにしました。機能紹介も割引コードも入れない。ただ「また気が向いたときはいつでも」という内容で、存在を覚えていてもらうためだけのメッセージです。
これが正解かどうかはまだわかりません。でも、「何もしない」よりは「そっとそこにいる」方が、Lilyらしい選択だと思えています。再登録してくれたユーザーに押しつけるのではなく、戻ってくる余地をそっと残しておく。そういうスタンスを持てるようになったのは、あの通知がくれた気づきのおかげです。
解約通知が届くたびに深く傷つく必要はないと、今のLilyは思っています。でも、「慣れた」と言ってしまうのも少し違う気がします。一人ひとりがちゃんと選んでくれた人だということは、忘れないでいたい。
ただ、解約を「失敗の証拠」として抱えすぎると、続けることが苦しくなります。どんなに良いサービスでも、タイミングや状況で合わなくなることはあります。それはLilyの作り方が悪かったとは限らない。そう思えるようになってから、少し楽になりました。
Lilyが受け取った「また選ばれた」という体験は、4ヶ月間サービスを止めずに続けていたから起きました。あの期間に開発をやめていたら、再登録はなかった。機能改善を止めていたら、その人が戻ってくる理由が減っていたかもしれない。
続けることが絶対に正解だとは言い切れません。やめることが正しい選択のときもあります。でも、続けている間は、こういう小さな奇跡が起きる余地があります。それだけは確かだと思っています。
一人で作りつづけているすべての人へ。今日も続けているあなたの積み重ねが、どこかの誰かの「やっぱりここにしよう」につながる日が、きっとあります。
Lily(@bokuwalily)― 個人開発者。AIと二人三脚で、iOSアプリやWebサービスを作っています
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Lily(@bokuwalily)― マーケ組織50名規模を統括するCMOを経て、いまは個人でiOSアプリやWebサービスを作っています。集客・導線設計と、AI導入・業務自動化の相談を受けています
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